こんにちは、midori80です。
2021年2月17日、阪急電鉄が通勤時間帯に有料で座れる特急車両の導入を検討していることが発表されました。
報道は以下記事です。
https://www.asahi.com/articles/ASP2J61B4P2JPLFA006.html
今回はこの件に関して、発表の概要と私見を書いていきたいと思います。
発表の概要
運行区間
有料特急の走行区間は大阪梅田―京都河原町(営業距離47・7キロ、所要時間約42分)を想定。
「大阪梅田~京都河原町間」での運行とのことで、神戸線や宝塚線など他路線での運行については触れられていません。
運行時間帯
阪急電鉄が、通勤時間帯に有料で座れる特急車両の導入を検討していることが16日、わかった
「通勤時間帯」に運行とのことで、日中ダイヤ・土休日ダイヤでの運行については触れられていません。
運行形態
専用の電車を設けるか、一部の車両を有料の指定席にすることを検討している。
設備面
通勤中に仕事ができるよう、コンセントや通信環境も整備する見通し。
私見
現時点で発表されている主な情報は上記の通りです。
ここからは個人的な予想等を書いていきます。
需要はあるか?
阪急京都線の大阪梅田~京都河原町間は47.7km、所要時間約42分と有料列車を導入するには短い区間と言われることが多いですが、
- 近鉄奈良線特急…近鉄奈良~大阪難波(32.8km・35分前後)
- 南海&泉北高速 泉北ライナー…和泉中央~難波(27.7km・30分前後)
- 南海特急ラピート…関西空港~難波(42.8km・35分前後)
- 京阪枚方市・樟葉始発のライナー…枚方市→淀屋橋(21.8km・23分)、樟葉→淀屋橋(27.7km・31分)
など阪急京都線より短い区間で完結する有料列車は関西でも複数存在するので、距離・所要時間的には十分需要があると考えられます。
途中駅から乗車する場合は乗車時間・乗車距離が短くなりますが、他路線でも距離20km以下・所要時間20分以下で有料列車が利用されるケースは珍しくありません。
具体的には以下のようなケースです。
- 近鉄南大阪線特急…古市~大阪阿部野橋(18.3km・約17分)
- 近鉄奈良線特急…生駒~鶴橋(17.2km・約14分)
- 京阪特急、ライナー…枚方市~京橋(18.8km・約15分)
- 泉北ライナー…泉ヶ丘~天下茶屋(18.2km・約16分)
阪急京都線のおおよそ中間地点にあたる高槻市駅から十三駅までも20.6km、約17分(ラッシュ時は20分以上かかる便もある)となっていますし、途中駅が絡んだ十分利用も見込めるでしょう。
また阪急京都線の優等列車はラッシュ時に始発駅で座席が埋まることが多く、乗り換え客が多い十三から京都方面、烏丸から大阪方面など着席が難しいケースが多いので、途中駅からでも確実に着席できる有料座席に課金するメリットは十分あると考えられます。
どのような車両になるか?

京都線では9300系、7000系7006F(京とれいん雅洛)、6300系6354F(京とれいん)と座席指定列車に使えそうな車両はありますが、現時点で阪急の車両にはないコンセントの設置が発表されていることから、既存車両をそのまま有料座席として運行する可能性は低いと考えられます。
新しい車両の導入、既存車両の改造のどちらかになるでしょう。
運行形態については、専用の電車を設けるか、一部車両を有料の指定席にするかは検討中とされています。
専用の電車を設ける場合
専用の電車を設ける場合、
- 南海・近鉄で見られるような有料列車専用車両
- 関東私鉄の座席指定列車で見られるようなL/Cカー(ロングシート・クロスシートを切り替えられる車両)
の2パターンが考えられます。
前者の有料列車専用車の場合、全車指定8両はやや過剰に感じるので、短い編成になるのではないでしょうか。
短い編成であれば、京都河原町駅2号線(7両分)を活用できるメリットがあります。
ただ有料列車の運転実績がない阪急でいきなりこのタイプの車両を導入するのはやや挑戦的に感じます。
後者のL/Cカータイプはラッシュ時に全車指定列車として運行しつつ、日中には一般列車としても運行できるので使い勝手は良さそうです。
ただ関西の有料座席は京阪プレミアムカー、新快速Aシートなどグレードの高いところが多いので、L/Cカータイプにしつつそれらに引けを取らないクオリティを実現できるかは未知数です。
一部車両を有料の座席指定列車にする場合

一部車両を有料の座席指定列車にする場合は、京阪のプレミアムカーやJR新快速のAシートのように、既存車両を改造または車両を新造して有料座席を導入することになるでしょう。
最も実現する可能性が高そうなのはこのパターンだと思います。
一部車両を有料にする具体的な方法については、
- 8両編成のうちどこか1両を有料にする
- 有料車両1or2両を導入し、8両編成と連結して9or10両で運行する
この2パターンが考えられます。
前者は京阪で実現したパターンです。
しかし、阪急京都線でラッシュ時に運転されている通勤特急・快速急行は混雑率が高いため、一般車7両のみで捌くのは難しそうです。
京阪でも朝ラッシュピーク時にはプレミアムカーのない車両が特急運用に就いていますからね。
これらを踏まえると、後者の有料車両1or2両増結の方が可能性は高そうです。
大阪方または京都方に有料車両を連結するとなると…
京都方の場合は大阪梅田駅の主要改札口から有料車両まで離れているので、大阪方の方が有料車両の乗客にとっては便利そうではあります。
ただ有料座席導入を試験的なものとするならば、比較的混雑率が低い京都方を有料にする可能性の方が高いかもしれません。
一般車両と座席指定車両を連結して運行している南海の特急サザンも、難波の主要改札口から離れた和歌山方4両が座席指定車両となっていますからね。
中間に有料座席を組み込むことも考えられますが、編成固定になってしまうとなるというデメリットがあるので難しいところです。
今後他の区間や他の時間帯で有料座席指定列車の運転は拡大されるか?
現時点では大阪梅田〜京都河原町間で通勤時間帯に運行と発表されており、これ以外の区間・時間帯については触れられていません。
ただ阪急では他にも有料車両の需要が見込めそうな区間・時間帯はあると個人的には思います。
日中の京都線特急(特に土休日)

現在は少し落ち着いていますが、コロナ禍前は土休日日中の特急乗車率がかなり高かったため、コロナ収束後を想定すると有料車両は高い需要が見込めそうです。
ただ一部指定車両の場合限定ですね。
堺筋線直通電車

阪急7300系7305F(リニューアル車) Osaka Metro堺筋線日本橋駅 CC 表示-継承 4.0
阪急は大阪メトロ堺筋線に直通できるというJRにないメリットがあります。
堺筋線は沿線にビジネス街が多いため通勤需要が見込めるでしょう。
関東圏で言うとメトロモーニングウェイ、メトロホームウェイ、THライナーのような感じですね。
特急日生エクスプレス(能勢電鉄直通電車)

能勢電鉄線に直通する特急日生エクスプレスも有料座席の需要が見込めそうな列車です。
途中駅からの着席が難しいのと、距離の割に所要時間が長めの列車なので、有料座席の価値は高そうです。
一部指定方式か「日生ライナー」のような新種別を作って全車指定にするのどちらかでしょうか。
まとめ
今回は阪急の有料座席に関して、概要と私見について書かせていただきました。
有料座席の形態については色々なパターンが考えられますが、個人的には「京都方に有料車両を連結」が最も実現可能性が高そうだと予想しています。
まだ具体的な内容がはっきりと決まっていませんが、個人的には期待しています。
今回は以上となります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。